※目隠しプレイ。でもエロは薄め

ひどい男


大したことじゃないと、思っていた。
だって交合うのは大抵夜の宿、明かりをおとした部屋の中で。窓から微かに差し込む月明かりでほんのりと闇の中に輪郭は浮き上がっても、細部まで確かめる術は無い。ぴたりとくっつけた額、覗き込んた瞳の青は認識出来ても、瞼を縁取る睫毛がどんな風に震えてるかまでは確認出来ない。

だから、大したことじゃないと思った。
ネロが差し出したのは黒く染められた細長い布。今日は少し趣向を変えてみようか、とひらひらと見せつけられたそれに多少驚きはしたけれど、まあいつもとそんなに変わらないかと思い込んで、さして嫌がってみせることなくすんなりと受け入れた。どちらかといえば一緒に提案された後ろ手で手をくくること、そちらの方が余程抵抗があった。抱き合う時にネロに触れられるのも好きだったけれど、同じくらいネロに触れるのも好きだったから。それが出来なくなってしまうのは、つまらなくって物足りない。
それでも結局は手を縛られることも承諾してみせたのは、ネロがいつもより楽しそうだったから。それにたとえ指ひとつ動かせない状況だったとして、ネロがアルドに酷いことをするわけが無いって信じているから。ちょっぴり意地の悪い顔をしてみせることはあっても、アルドを本当に傷つけたりはしない。分かっているから、請われるがままに拘束を受け入れ視界を塞いだ。

まずいかもしれない、と思ったのはさしても経たないうちに。布で覆われる前から目は瞑っていたはずなのに、分厚くて柔らかな布地が瞼に触れると同時、瞼の裏の闇がぐんと一層の質量を増した。そこでアルドは初めて、今まで闇だと思っていたものは完全な闇でなく、そこには微かな光が混じっていて、目を閉じていてすら瞼越しに光を拾っていた事を知る。押しつぶされそうな黒に何もかもを塗り込められた視界は、新月、明かりのないバルオキーの夜の闇よりも濃くて、少しだけ息苦しい。
思わず首を動かして視線をさ迷わせたのは、無意識のうち。あんまりにも何も見えないことが不安で、知らず何かの形を探そうとしたのだろう。けれどいくら何かを見つめようと覆われた布の中、閉じた瞼をそろそろと開けて瞬きを繰り返しても、黒に塗りつぶされた視界に変化が訪れることはない。むしろ目を開けている筈なのになお変わらない闇に不安を煽られて、ならばまだ閉じていた方が目を閉じているから何も見えないのだと言い訳が出来る。ぎゅっと先程よりも強く瞑った瞼の下で、アルドはふうっと小さく息を吐き出した。

――ああ、腕を縛ったのはこのせいか。
ぐっと力を入れても縛られて固定され、思い通りに動いてはくれない自身の腕に、そこに潜んだ意図を悟る。もしも自由に腕が動かせたなら、すぐさま目を覆う布を取り去っていただろうから。アルドのしそうな行動を予測して対策をとっている辺り、簡単に止めてもらえそうにはなさそうだ。見透かされていたことが少し悔しくって動けないのがもどかしいのに、その手回しのよさにネロらしさを感じて、僅かに緊張が解ける。

けれど束の間の安堵は、長くアルドの中に留まってはくれなかった。

「……ネロ?」

黒だけが広がる視界、頼れるのは視覚以外の感覚なのに、アルドの耳が拾うのは自身の呼吸の音と、ベッドマットがぎしりと軋む音、シーツと肌が擦れる布の音、少し冷えた部屋の空気の温度。ただそれだけ。そのどれもに、ネロの気配が含まれていない。
ついさっき、アルドを縛る時はこまめに声をかけてくれたのに。縛ってしまえば脱がせにくいからとネロが手ずから、丁寧な手つきでアルドの服を脱がせてくれたのに。「痛くないかい?」「うん、悪くないね」気遣うように優しげな声で、話しかけてくれたのに。
今は耳を澄ましても、ネロの息の音すら聞き取る事が出来ない。

「ネロ、ネロ、なあ、ネロってば」

立て続けに何度も呼んだ名前は、受け止められる事無くすうっと溶けて消えてしまう。残った静寂がひどく冷たくって、飲み込んだ息はひゅっと短く喉を鳴らした。
部屋の戸が開いた気配はなかった。さすがにそれくらいは、目が使えずとも分かる。部屋に篭った空気は、停滞を続けている。
けれど耳を澄ませても、剥き出しの肌に当たる空気から必死で気配を読み取ろうとしても、ネロを見つける事が出来ない。部屋を出ていった筈がないと分かっているのに、何も見えないせいで本当にネロがそこにいるのか自信が持てなくなる。
だってネロは、アルドと二人きりの時のネロは、名前を呼べば応えてくれるのに。「どうしたんだい」とほんのりと目を細めて、アルドに触れてくれるのに。怒っている時は応えてくれないこともあるけれど、そんな時は言葉の代わりに怒気を飛ばしてくる。だから二人でいる時に、ネロの気配を感じないことなんて一度もなかったのに。
ネロのいたずらだ、と頭の中、冷静な部分は判断を下しているのに、奪われた視界を覆う暗闇が、形のない不安を煽って膨らませてゆく。

「ネロ、ネロ! ……ひっ?!」

暗闇と沈黙の重苦しい圧力に耐えられず、語気を強めてネロの名前を再度呼べば、ようやく動きはあった。
けれどそれは、期待していたネロの声ではなく肌に触れた指の形で。前触れもなくさっと腹を撫でられて、思わずアルドの声がひっくり返る。
すぐに離れていった指が、次に撫でたのは肩。その次は胸。その次は脇腹。その次は膝。その次は二の腕。
規則性も何も無く、次にどこに触れられるかまるで予想もつかない。突然やってくるせいもあってか、少し硬い指の腹が肌に擦れる度、自分でも驚くほどに大袈裟にびくりと体が跳ねてしまう。触れられた部分には点々とむず痒さが残されてゆき、焦れったい疼きがじわじわと広がってゆく。いつもは殆ど触れられることのない場所、肘や肩やふくらはぎまで、炙られたように熱くってたまらない。
ふ、ふ、吐き出す息はいつの間にかすっかりと上がっていて、どくどくと騒ぐ心臓がますます全身に熱を送り込んでゆく。もぞり、無意識のうちに擦り合わせた太ももの内側、自身が兆していることに気がついて、アルドはようやく自分が快感を拾っていたことを自覚した。
一度自覚してしまえば、ぱちぱちと全てが繋がっていってしまう。体の表面を覆う疼きが快感に結びつき、自覚した分だけ快さが深くなってゆく。そのタイミングで、触れられたのは胸の尖り。ただでさえネロの手でそこは気持ちがいいのだと散々教えこまれ快楽を叩き込まれた場所、既に昂ってた体は先を掠める程度に軽くひと撫でされただけで、果ててしまいそうになった。

どうにか堪えたのは、ちらりと不安が過ぎったから。
本当に、この指はネロのものなのだろうか。
だって相変わらず、ネロは何も言ってくれないまま。アルドが感じ取れるのは、身体に触れる指先の形だけ。耳に届く荒い息の音も、アルドの分の一つだけ。
すらりとした綺麗な形をしていて、けれど鍛えられた拳の指先の皮膚は硬い。今、アルドに触れる指先も硬くて、形もネロのものによく似ているように思えるのに。
――でも、本当に?
ちゃんとネロだと断言したいのに、過ぎった不安が確信させてはくれない。一度抱いてしまった疑念を、払拭するだけの手がかりを、ネロが何一つ与えてはくれない。

さわり、さわり、くすぐるように撫でるだけで離れていっていた指が、やがて体の表面のどこかしこにも淡い火をつけたあと。ようやく大きな手のひらがそっと肌に触れる。ゆっくりと腹を撫でる手の動きは労りにも似ているのに、べったりと肌に触れきることなく間に空気を含み焦らすように絶妙に計算された距離は、いやらしい意図を明確に宿している。
その触り方は確かにネロのものなのに、それでもアルドは安心出来なかった。
ネロだってそういう触り方をするけれど、でもネロはもう少ししっかりと触ってくれたような気もする。それとももう少し意地悪く焦らされたような気だってする。正解のような気がするのに、何もかも間違っているような気もして、触れられた分だけ混乱が深くなってゆく。
けれど確信はもてないくせに、視界が塞がれた分だけ鋭くなったように感じる感覚は、いつもより貪欲に快感を拾い続けた。これはネロじゃないかもしれない、と思っているのに、たっぷりと腹を撫でられ、ぴんと指で胸の飾りを弾かれれば、思わず仰け反り喉を晒すほどに気持ちよくてたまらない。それが後ろめたくって、後ろめたいのに気持ちが良くって、だめだと思えば思うほど余計に体は反応してしまって、どうしていいか分からずアルドはぐっと奥歯を噛み締めて漏れ出そうな声を抑えた。
口を開けばまた、ネロの名前を呼んでしまいそうだったから。そうして呼んだ名前に返事がなければ、ますます恐ろしくなってしまいそうだったから。
それで、もしも。万が一、ネロじゃない誰かの声が返ってきたら。
そんなことある筈がない、そんなのちっとも現実的じゃない。だって部屋からネロが出ていった気配も誰かが部屋に入ってきた気配もなくって、だから全部思い過ごしの杞憂だと思うのに、もしも、もしも、と仮定を続ける思考を止める事が出来ない。

突然ぐいっと足を持ち上げられ、折り畳むように膝を胸に押し付けられた時は、少しばかり抵抗しようともした。身をよじって足に力を込めて、押さえつける手を蹴りあげようとした。けれど体の全てを使って伸し掛ってくる重さに、足の力だけで対抗するのは難しい。加えて、ぴしゃり、平手で軽く太ももを叩かれれば、ひゅんと身がすくんで力が抜けてしまう。だって叩かれた時の痛みまで、ネロに与えられるものとよく似ていたから。体はそれをネロだと判断して、頭はそれがネロだと判断できない。一致しない頭と体に、本当に抵抗していいのか、戸惑う心が抗う意思を揺らがし、そうするうちにすっかりと押さえ込まれてしまった。

ひたり。持ち上がった腰、尻たぶの隙間に差し入れられた熱に、アルドはひゅっと息を飲み込んだ。
あらかじめきちんと香油は塗り込めてきたけれど、それでもいつもならネロはきちんと時間をかけて丁寧に指で解してくれる。いきなり突っ込んだりなんてしない。
塞がれた視界の中、新たに与えられた情報はそれがネロではないかもしれないとの不安を強めるもので、ひ、ひ、と浅い呼吸を繰り返す喉は、微かに震えていた。
わざと焦らすように、ぬめって滑る穴の縁に擦り付けられて、張り出した先端が弄ぶように穴に引っ掛けては外すたび、怖くって、怖くって、たまらなく気持ちが良くって。ひくひくと腹の奥が痛いくらいに引きつれて仕方ない。ぐちゃぐちゃに思考をかき乱すのが恐怖なのか快感なのかすら、もはや判断がつかなかった。

やがて遊ぶのにも飽きたのか、狙い定めるようにひたりと穴の縁に丸い先端が添えられる。アルドは息を止めて固まった。怖い。怖くてたまらない。恐怖でぴしりと体は強張っている。
なのに何も見えない視界の中、余計な情報が削ぎ落とされた分、自分の体がどんな反応をしているか、いつも以上に分かってしまう。まだ飲み込んですらいないのに、柔らかくぬめった縁に熱を添えられただけで、ひくんひくんとねだるように穴が収縮を繰り返していた。怖いのに、それがネロだと確信できるまで受け入れたくなんてないのに、思考を裏切って体は男を内側に誘い込むような動きでちゅうちゅうと先っぽに吸い付いて離れない。きゅうと穴が窄まる度、締まりきらずに僅かに咥えた先端の形に広がったままであることがまざまざと伝わってくる。罪悪感でずきずきと心臓は痛いのに、こわいくらいに気持ちがよくって、早くもっといっぱい拡げてほしくって、中を擦ってほしくってたまらない。

そしていよいよ、その時は来た。ただ添えられるままだった張り出した先端が、ゆるゆると肉を割り開いてアルドの中に入ってゆく。噛み締めた奥歯は、力が入りすぎて顎が痛いくらい。だってそうでもしなければ、甘い声が漏れてしまいそうだったから。
けれどアルドの覚悟を、……期待を、裏切って。一旦は中に潜った熱はすぐに引っ込んで、ちゅぽん、水音を立ててあっさりと引き抜かれる。思わず、ぐう、と鳴った喉が意味するのは、安堵か失望か。分からない。

その時、ようやく。部屋の中、アルド以外の吐き出す息の音が聞こえた。音の持ち主はくすくすと空気を震わせて笑ったあと、ゆったりと囁いた。

「ひどい男だな、君ってやつは」
「ね、ネロぉ……! ネロ、ネロ、ネロ……!」

ずっと聞きたかったもの。間違いなくネロの声、ネロの言葉、ネロの口調。一気に解けた緊張に、ようやくその名をアルドも口にする。ああ、ネロだ。やっと、確信出来た。
しかし何だか、聞き捨てならない事を言われなかっただろうか。安堵と共に何度もネロの名を呼びながらアルドは、あれ、と先程のネロの言葉を思い出す。
ひどい男だと言わなれなかっただろうか。今の状況、どう考えたってひどいことをしているのはネロの方で、アルドは何にもしなかったのに。何も出来なかったのに。
けれどそんな疑問が不満の形をとって表情になる前、つっと頬を指で撫でられてどこか非難めいた口振りで更に言葉を投げかけられる。

「僕に触れられながら、誰の事を考えていたんだい?」
「そっ、れは、……ね、ネロの……」
「うそはいけないよ」

愉しそうな気配は残しつつ、ちらちらと不機嫌も散りばめた声で頬をくすぐられたアルドは、依然として見えてはいないのに責めるようなネロの視線に射抜かれている気がして、そっと顔を背けてぽそぽそと小さな声で答える。そしてすぐさまぴしゃりとうそだと言われて、そんなことはないと強くは主張は出来なかった。
ネロのことを考えていたのは嘘じゃなかったけど、触れる指がネロじゃないかもしれないと考えてしまったのは本当だったから。ネロじゃないかもしれないと怯えながら、気持ちよくなってしまったのも嘘じゃなかったから。

「ひどい男だなあ」

返す言葉を失って黙り込んでしまったアルドに向けてもう一度、呆れたようなため息と共にネロの声が降ってきて、ぎゅ、と鼻を摘まれる。普段からネロがアルドを窘めたりからかったり戯れにじゃれる時に、よくする動作だ。軽く摘んでるようにみえて、こめられた指の力には容赦がなくって結構痛い。その仕草と指の強さがいつものネロとぴったり重なり、一緒にかけられた声がその感覚がけして間違いじゃないと教えてくれる。

(ほんとに、ちゃんとネロだ……)

ネロの声を聞いて生まれた安堵が、一段と大きくなってぶわりと膨れ上がりぐうと喉奥を押した。そのせいでずっと押し込めていた不安まで一緒に表面に押し出されてしまう。

「だ、って! ……オレ、見えないのに、ネロが、返事、してくれないから……だから、ネロだって、自信がもてなくなって……」
「ふうん? つまり君は、目が使えない程度で僕の事が分からなくなるんだね」
「そんな……っ!」

けして悲しい訳ではなかったけれど、安心した分だけ腹も立って恨めしさもあって、ないまぜになった感情を制御しきれずに声が揺れて震えてしまう。涙なんてちっとも出ていやしないのに、まるで泣いているように濡れて湿った音がする。
けれどネロはそれでも容赦がなかった。つっかえつっかえ吐き出したアルドの主張をぴしゃりと跳ねつけて、いっそ理不尽ともいえる論理を展開し始めた。
だってそんなの、無茶苦茶だ。ネロだってわざと気配を消していたくせに、アルドだけが悪いように言われるのは納得がいかない。いつもならムッとしてそのまま、威勢よく言い返した事だろう。
なのにアルドの心の中に、でも、としんとした声が響く。真っ黒な視界の中、光のない世界に閉じ込められるうち、近しくなった疑心と弱気が忍び寄る。何も見えない、ただそれだけのことがあまりに寄る辺なくて心細く、恐ろしく頼りなくなった心に、弱々しい声がぽつんと落とされる。
言い返してやりたいことはある、でも。ネロの言っている事も全部正しくって、見えないくらいで分からなくなる自分が薄情な気もしてくる。ネロだってひどいと思うけれど、それ以上に自分がひどいやつであるような気になってしまう。

「ネロ……これ、外してくれ……」
「ダメだよ」

これ以上考えればますます心は弱気に傾いてしまいそうだったから、小さな声で懇願する。破片でもいいから、何かの形を視界に刻みたかった。
なのにネロはまたしても、無情にもそれを叩き落として否を突きつける。それにアルドが何かを思う前、ぴたりと尻に当てられた熱が、今度は間を置いて焦らすことなくずぶずぶと侵入を始めたから、一瞬で何もかも飛び散ってしまった。

「う、あっ……!」

思わず漏れ出た悲鳴もおかまいなしに、肉を掻き分けて中に入ってくる楔の進む速さは、焦れったいほどに緩やかだった。見えない分だけ敏感になった感覚が、自らの腹の内が包むネロの形をくっきりと浮き彫りにして、まざまざと伝えてくる。
まるで、形を馴染ませているようだ。穿たれた分だけネロの形に拓かれる内側を自覚すれば、きゅうきゅうと肉が収縮してより一層ネロに絡みつく。一分の隙間もなく、ぴったりとネロに吸い付く内壁を自覚すれば、それだけで気持ちがよくって何も考えられなくなってしまう。強気も弱気も弾け飛び、ひくんと全身がひくつく度に分厚くなってゆく快感に全てを攫われ流されてゆく。
やがてぱちん、小さな音を立てて尻に当たったネロの下腹の感覚で全て入ったのだと理解して、知らず詰めていた息をふっと吐き出した。
けれど落ち着いて呼吸を整える隙すらなかった。挿入の緩慢な動作から一転、ずるりと一気に穴の縁まで先端を引き抜いたネロは、今度は激しく乾いた音を立てて、ばちん、腰を打ち付け、先程侵入した以上の奥まで勢いまかせに熱を捩じ込んだ。
体を突き抜けた衝撃に、頭が真っ白になって一瞬、意識が飛びそうになる。はくり、開いた唇からは、息すらも盛れなかった。

「見えなくったって触られただけで、ちゃあんと、僕だって分かるよう、教え込んであげなきゃね」

耳に届くのは、少し乱れたネロの声。
真っ暗に染められた視界は変わらないままなのに、なぜだかその瞬間。妖しげにぺろりと唇を舐めるネロの姿が瞼の裏にくっきりと浮かび、艶やかにアルドに向けて笑いかけた気がした。